株式会社平田タイル
平田匡彦専務取締役
建設業界への先入観を大きく変えて欲しい!
それが「けんせつ姫」への期待です。
「けんせつ姫」への協賛と取材へのご協力ありがとうございます。まずは、平田タイルさんの事業内容について教えていただいてもよろしいですか?
平田タイルは1919年に建築用陶磁器(タイル、衛生陶器)の販売・施工からスタートした会社です。タイルやトイレなどのセラミックスとしての美しさ、機能やデザインを駆使した提案会社として、常に時代の先取りを心がけてきました。専門商社としての幅広い商材とその知識を持ち、物流・工事機能も融合。住宅設備機器事業、タイル・エクステリア建材事業、住宅建材事業、開発事業という、暮らしに新たな価値を創造する4つの事業を展開しています。
土佐工業が発行するフリーペーパー「けんせつ姫」に協賛された理由を教えてください。
業界紙の記事で、たまたま「けんせつ姫」のことを知りました。土佐工業の柴田社長が取材を受けられている小さな記事だったのですが、読んでみたいと思いフリーペーパーを探したのがきっかけです。配布場所に近い当社の営業所に入手を依頼したのですが、残念ながら残っていなくて……。次はいつ出るんだろうと、本当にがっかりしたんですよ。ただ、よく考えたら、次号でうちの女性社員を採り上げてもらうこともできるんじゃないかと。平田タイルとしても女性スタッフの増員はぜひしたいと思っていましたので、それで協賛への申し込みをさせていただいたわけです。
平田タイルさんでは、女性の職人さんが活躍されているのでしょうか?
今回、「けんせつ姫」で取材していただいた若手女性社員二人もそうですが、建設現場で現場管理者として活躍しているスタッフは複数います。ただ、職人さんとなると、まだまだ厳しいところはありますね。タイルをはじめとする建材は重いですし、建設現場には危険も伴いますから。それでも、室内中心など条件を変えてみれば、女性が活躍できる余地はあると考えています。
建設現場で活躍するような女性の採用は、やはり難しいのでしょうか?
トイレや更衣室を作って、女性が働きやすくなりましたとアピールしたところで、ずっと食べていくだけの仕事がなければ、誰も応募なんかしてくれません。しっかりと受け皿を作る必要があります。これはなにも女性だけの話ではなくて、いま私たちが学生さんの親御さんに説明すると、「建設業界って危ないんじゃないですか?」「職人で食べていけるんですか?」と非常に反応は悪いです。
大阪に出てきてくださいというと、「寮はあるんですか?寮母さんはいるんですか?」となってしまいますし、「うちは工場じゃないんで、寮はありません」と答えると、「じゃあ、やめときます」とあっさりお断りされてしまいます。「行ってこい!」と親から送り出された昔とはもう違いますし、それを嘆いていても仕方がない。伝える努力、受け入れる努力をどれだけしているのか、私たちも真剣に考えなければいけない状況です。
なにか対策は取られていますか?
タイル張り技能工(タイル職人)を含めて、建設業にたずさわる職人さんの数はどんどん少なくなっていますから、平田タイルとしても、いま人を育てておかないと大変なことになるという気持ちは持っているんです。ですので、男女問わず、タイル職人になりたい、現場管理者になりたいという人がいれば、平田タイルで正社員採用し、協力会社の親方の下で技術を学ばせて育成しています。出向ではなく、あくまでうちの社員としてです。
ここ数年、そう考えて採用活動を継続して実績も少しずつ出ていますが、今回は女子高生でタイル職人になりたいというありがたい話が出てきました。タイル業界に関していえば、女性職人は昔からほとんど存在していません。電気工事、天井工事、内装壁のクロス工事など、女性が活躍しているのは基本的には家の中が多く、外に出ての過酷な環境ではまだまだ少数派です。平田タイルは大手ゼネコンさんなどの大型現場での工事も手掛けますが、女性の現場管理者や職人さんにはそういった現場ではなく、ハウスメーカーさんや地元の建売をやられている工務店さんのようなところの現場に限定した働き方もあるんじゃないかと思うんです。
そうした取り組み、工夫を多くの人に伝えたいですね。
ええ、とにかく課題は、当社が担当するタイル工事をはじめとする様々な種類の工事現場で職人さんや現場管理者がどのような仕事をしているかを知ってもらうことなんです。就職希望の生徒の担任の先生であるとか、親御さんですね。説明に伺うと、必ずといっていいほど、「タイル工事ってなんですか?」「タイルってどこに使うんですか?」と尋ねられるところからはじまります。次にくる質問が、「しんどくて危険なんでしょ?」。最後が、「そんなところに大事な子どもを行かせられません」となるわけです。
いやいや、そんな仕事ではありませんからと丁寧に説明するのですが、なかなか理解していただけないのが現状なんです。これはタイル業界だけの話ではなく、建設業界全体の課題といえるでしょう。業界のことを知らないし、親御さんの世代の先入観がとても強いですね。
そうした現場では、「けんせつ姫」が存在感を発揮しそうですね。
そうなんです。就職を希望している女子高生の担任の先生のところに説明に伺えば、「それって男の人の仕事でしょう?」と必ずいわれてしまいます。ところが、そこに女性の活躍を紹介している「けんせつ姫」があれば、もう余計な説明はいらないわけです。
全国の建設現場では、こんなに女性が活躍しているんですよ。職人さんもいれば、設計士さんもいる。主婦の方もいれば、未経験から現場で活躍している人もいる。その中には、実はうちの社員もいるんですと、そのページを開いて見せたい。土佐工業さんの「けんせつ姫」に協賛・参画することは、平田タイルにとっても大きなメリットになるはずですし、タイル業界全体のことを考えても本当に期待は大きいですよ。